巫女のお仕事 〜カイの冒険〜

 

神というものは、非常に身勝手である。

そんなことを痛感するのはこんなゲームをプレイしたときかもしれない。

知っている人は知っている通り、このソフトは「ドルアーガ」4部作の一部である。

(「ドルアーガの塔」「イシターの復活」「ブルークリスタルロッド」が残り3つ。)

で、その物語の一番最初に当たる部分が、主人公カイが女神イシターの命を受けて

ドルアーガの塔へブルークリスタルロッドを取り返しに行く、というこの作品だ。

まあ、ここまでならよくあるパターンだ。

しかし、女神イシターは恐ろしく非情な女神である。

モンスターの徘徊する塔へ向かう無力な巫女に与えるのは、

「勇気を身軽さに変えるティアラ」ただひとつ。

当然、強力なモンスターたちを攻撃できる力など、何一つ渡さない。

結果、カイは果てしないジャンプ力のみで全ての敵をかいくぐって、塔を登るのだ。

しかも、この主人公カイ、めちゃくちゃひ弱である。

ジャンプで天井にぶつかれば頭を抱えてその場にうずくまり

ダッシュで壁にぶつかれば頭を抱えてその場にうずくまり

トゲが足に当たればその場で即死である。

かのスペランカーには及ばないが、それにしてものひ弱さだ。

そんな巫女に世界の命運を託すなど、よっぽど人材がいないのかと思う。

結果的にはそれが、恋人のギルを呼び込み、ドルアーガを倒すことになるのだが、

そこまで計算してやってたなら、エサの身分のカイが非常に可哀想そうである。

だがまあ、神なんてそんなものかもしれない。

また、このゲーム、ストーリー的には60面でエンディングを迎えるが、

その後スペシャルステージとして61〜100階が存在する。

むしろ、ここからが真のカイの冒険と言えるのだが、

このあたりでのイシターのセリフが非常に壊れ気味なので要チェックだ。

単純に攻撃だけしてればクリアできるゲームに飽きたら、

このゲームにチャレンジしてほしい。

きっと、スペランカーに次ぐ絶望を味わえることだろうから。

 


MIDI作成:Hi


炎ってこんなにでかかったのか…。カイの冒険

1988年8月22日発売、発売元ナムコ、定価3900円。 

写真中の敵はサラマンダー、スラグ、バット。

ナムコのソフトは箱がハードなため、保存しやすい。

このソフトも、箱・取説とともに比較的綺麗な状態で保存されていた。

そんな頑丈指向なナムコのHPはこちら


次回予告

恋人を家族に紹介しようと、家に連れてきた少年。

だが、兄が大好きな妹は、彼女をさらって城に監禁してしまう。

さらに、残る3人の兄も彼女に一目惚れして妹とともに……

次回、れげーと僕。

「骨肉の兄妹争い」

お楽しみに……


れげーと僕。へ