骨肉の兄妹争い 〜クインティ〜
世の中には、異常なまでに自らの肉親を愛するものがいる。
いわゆるマザコンとかファザコンとかシスコンとか言うやつである。
今回は、その一つ。ブラコンの妹を持ったある少年の話をしてみるとしよう。
主人公、カートンはある日自宅に恋人のジェニーを連れてくる。
すると、そのジェニーを見た主人公の実の兄貴3名(プラム・セカイ・トライ)が、
彼女に一目惚れしてしまう。
さらに、兄貴があまりに彼女と仲がいいのに嫉妬した妹クインティが、
(そう、タイトルは主人公の妹の名前だ。予想もするまい。)
彼女をさらって天空の城へと引きこもってしまう。
挙句に兄貴たちがジェニーを渡すかい、とばかりにクインティに協力して
主人公の邪魔をして来るのだ。超醜い兄弟喧嘩である。
巻き込まれたジェニーはたまったもんじゃない。
そもそも、天空の城ってなんだ。
ラピュタだろうか。なぜ、そんなところにクインティが入れるのか。
謎は深まるばかりである。
さて、ゲームとしては、7×5のパネルで構成されるステージで、
パネルをめくることによって敵を吹き飛ばして壁にぶつけ、壊すことによって
敵を全滅させるとクリアーになる、という単純なアクションものである。
恐らくこのゲーム中最も鬱陶しい敵は、パネルの上を平泳ぎするスイマーであろう。
この平泳ぎ、後ろのパネルをめくっていく効果があり、
それによって敵の増えるパネルなんかがあると、どんどん増殖してゆく。
パネルの中からもこもこと海パン一丁の野郎が出現する様を思うと、
非常に鬱陶しい限りだ。たとえ人形だとしても。
また、最終面のボスは当然クインティなのだが、ここに2人プレイで行って勝つと、
なかなか面白い現象が見られる。
主人公カートンは負けて泣いているクインティなど脇目もふらずにジェニーに
一直線なのだが、2Pキャラのバートンは、なんとそんなクインティを慰めに行くのである。
傷心の少女に優しくして、ゲットしようという寸法なのだろうか。
結果的には、どうもその作戦は成功するらしい……。
親友の妹を、手篭めにする男。
もしかしたら、コイツが全ての元凶だったのかもしれないという邪推すら湧く。
「人形の世界」を舞台に繰り広げられる、ドロドロの恋のさやあて。
そんじょそこらの昼メロにも負けないこの争い、一見の価値はある。
諸兄には、ぜひ一度プレイしていただきたいゲームである…。
クインティ
1989年6月27日発売、発売元ナムコ、定価4900円。
実際の購入価格は、980円くらいだったと思う。
今買ったらいくらになってるかは知らないけれど。
以前はナムコのソフトは、だいたい2980円くらいまでで入手できた。
そんな中古市場に貢献している風のナムコのHPはこちら。
次回予告
雪の世界を襲う魔王の影。
恋人をさらわれた男たちは、自分たちの能力を手に立ち上がった。
敵を雪玉へと変える、魔法の力で…。
次回、れげーと僕。
お楽しみに……